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プロジェクトマネジメント 公開日 2026.09.25

Web制作の外注先で担当者が退職したらどうする?引き継ぎを任せきりにしないための確認事項

この記事の要点

  1. 担当者の退職で発注側が確認するのは、アカウント・名義の管理と、後任者への引き継ぎの2つです。
  2. アカウントやパスワードの操作は制作会社に頼み、発注側は済んだかどうかを確認します。
  3. いつ、何をするかは「はじめに」の表にまとめています。

Web制作の外注先で担当者が退職すると聞いて、引き継ぎに不安を感じていませんか。
発注側が確認することを知っていれば、任せきりにせず、安心して進められます。この記事では制作会社の立場からその手順を説明します。

はじめに

担当者の退職で発注側が確認することは、アカウント・名義の管理と、後任者への引き継ぎの2つです。どちらも前任者の最終出社日までに済ませるのが基本で、交代のあとは後任者の仕上がりを見ます。退職の知らせは、通常1か月ほど前に届きます。

  • アカウント・名義の管理:管理画面のアカウントや、サーバー・ドメインの契約者を、自社で管理できているか
  • 後任者への引き継ぎ:作業の情報、経緯と約束、契約外で頼んでいた作業、連絡先の4つが、後任者に渡っているか

発注側の役目は確認と判断で、アカウントやパスワードの操作は制作会社に頼むのが基本です。迷ったら制作会社に頼み、自社は確認に回ってください。担当者の交代に伴う作業なので、追加の費用はかからないのが一般的です。

発注側がいつ何をするかは、次の表のとおりです。右端の列は、詳しく説明している見出しです。

いつ発注側がすること詳しく
知らせを受けたら最終出社日・後任者・引き継ぎの予定と、制作会社の責任者(担当者の上司など)の名前を聞く−
知らせを受けたらアカウント・名義の状態と、更新日・支払日の一覧を制作会社に出してもらうアカウント・名義の管理
引き継ぎの打ち合わせ前経緯と約束を書き出し、制作会社の責任者へ送る経緯と約束
引き継ぎの打ち合わせ前打ち合わせに出て、抜け漏れがあれば伝える経緯と約束
引き継ぎの打ち合わせ前前任者のアカウントの削除と共有のパスワードの変更を、担当変更前日に行うよう制作会社に頼んでおくアカウント・名義の管理
引き継ぎの打ち合わせ後後任者に小さな更新を1件頼み、仕上がりを見る作業の情報
引き継ぎの打ち合わせ後「ついでに」頼んでいた作業が契約に含まれるかを、制作会社に確認する契約外で頼んでいた作業
担当変更前日前任者のアカウントの削除と、共有のパスワードの変更が済んだと、制作会社から連絡をもらうアカウント・名義の管理
担当変更前日チャットやメールの宛先が後任者に切り替わったことを確認する連絡先
担当変更後後任者の最初の数件の仕上がりを見る作業の情報

最終出社日まで1か月もない場合も、手順は同じです。知らせと同時に担当者が代わった場合は、後半の【急な交代】をご覧ください。

担当者の退職で引き継ぐもの

担当者の退職で引き継ぎが必要なのは、基本的には前任者個人にひもづくものです。アカウントや連絡先、頭の中にある作業の手順、本人だけが覚えている打ち合わせの経緯がこれにあたります。一方で制作会社との契約の範囲や費用、期間は会社どうしの取り決めなので、担当者の交代とは関係なく、そのままです。

ただし、次の2つは前任者個人にひもづくかどうかが場合によって違うため、確認が必要です。

  • サーバー・ドメインの名義(だれの名義で契約しているか)
  • 前任者が契約外で「ついでに」引き受けていた作業(有料になったり、受けてもらえなくなったりすることがあります)

なお、個人のフリーランスに頼んでいる場合は、担当者の交代にあたらないため、この記事では扱いません。

【引き継ぎ前】アカウント・名義の管理

引き継ぎの前に確認するのは、アカウント・名義の管理を自社でできているかです。できていれば、前任者のアカウントを消して後任者の分を作るだけで済みます。できていない場合は、前任者が退職後も管理画面に入れる状態が残るおそれがあります。

次の5つの状態を、制作会社に一覧で出してもらいましょう。名義が制作会社なら、契約書にそう書いてあるかも一覧に入れてもらえば、自分で契約書を探す必要はありません。

確認すること「はい」の状態「いいえ」のとき
サーバー・ドメインの名義契約者が自社になっている(制作会社の名義なら、契約書にそう書いてある)自社の名義に変える相談を制作会社にする
管理画面の管理者サイトの更新画面(CMS※1)、アクセス解析(Google アナリティクス)、検索の分析(Search Console※2)の管理者に、自社の担当者が入っている自社の担当者を管理者に加えてもらう
アカウントの分け方制作会社の担当者ごとにアカウントがある担当者ごとに分けてもらう
2段階認証※3と通知の宛先確認コードや更新の通知が、担当者個人の携帯ではなく、会社の電話やアドレスに届く会社の電話やアドレスに変えてもらう
支払い有料のプラグイン※4などを、前任者個人のカードではなく、自社か制作会社の請求で払っている自社の支払いに切り替える

「いいえ」があれば、制作会社に相談して整えてください。前任者個人の名義や携帯、カードにひもづくものは本人の協力が必要なので、最終出社日より前に済ませましょう。それ以外は、交代が落ち着いてから相談してもかまいません。

あわせて、ドメインとSSL証明書※5の更新日、有料サービスの支払日の一覧も出してもらいましょう。期限を過ぎると、サイトやメールが止まったり、ブラウザに警告が出たりするためです。交代の前後に期限が来るものがあれば、後任者に更新を頼んでおきましょう。

  • ※1 CMS:ホームページの文章や画像を、管理画面から更新するための仕組みです。WordPress が代表例です。
  • ※2 Search Console:Google 検索での表示回数などを調べられる、Google の無料ツールです。
  • ※3 2段階認証:パスワードに加えて、電話に届く確認コードなどでログインする認証方法です。
  • ※4 プラグイン:CMS に機能を足すための拡張機能です。有料のものもあります。
  • ※5 SSL証明書:サイトの通信を暗号化するための証明書です。期限が切れると、ブラウザに警告が出ます。

アカウントとアクセス権

前任者のアカウントは、最終出社日の作業が終わったら、制作会社に頼んで削除します。済んだことは連絡で確認し、管理者に入っていればユーザーの一覧でも見られます。後任者のアカウントも、制作会社に作ってもらいましょう。

いつ発注側がすること
引き継ぎの打ち合わせ前前任者のアカウントの削除と共有のパスワードの変更を、担当変更前日に行うよう制作会社に頼んでおく
担当変更前日前任者のアカウントの削除と、共有のパスワードの変更が済んだと、制作会社から連絡をもらう

削除の対象は、サイトの運用に使っている次のサービスです。

  • CMS(WordPress など)
  • Google アナリティクス、Search Console、タグマネージャー※6
  • 広告の管理画面(運用を任せている場合)
  • サーバーの管理画面など、1つのアカウントを使い回しているもの(パスワードを変える。自社のアカウントを前任者に使わせていた場合は、自社で変える)

アカウントが残っていると、前任者が退職後も管理画面や解析の数字を見られるおそれがあります。本人に悪意があるかどうかに関係なく、削除を頼んでください。

  • ※6 タグマネージャー:サイトにアクセス解析などの計測を入れるための、Google の無料ツールです。

サーバー・ドメインの契約名義

サーバーやドメインの名義とは、サーバー会社やドメイン会社に登録されている契約者のことです。自社が契約者か、契約書で制作会社の名義と決めてあれば、担当者の交代で手続きをする必要はありません。確認の表で「いいえ」だったときは、変更の費用や、変更後の更新と支払いをだれが行うかも含めて、制作会社に相談してください。

前任者個人の名義になっていたら、最終出社日の前に、制作会社の責任者を通して自社へ移しましょう。

【引き継ぎ中】作業の情報

後任者に引き継ぐ作業の情報は、制作会社の内部資料(案件マニュアル)にまとめるのが一般的です。ただ、中身は制作会社の作業手順なので、発注側がマニュアルを読んで確認するのはおすすめしません。そこで前任者が在籍している間に、後任者へ小さな更新を1件依頼し、仕上がりで確認してください。

いつ発注側がすること
引き継ぎの打ち合わせ後後任者に小さな更新を1件頼み、仕上がりを見る
担当変更後後任者の最初の数件の仕上がりを見る

保守の契約で、追加の費用なしに頼める更新を、後任者に聞いてから選んでください。ちょうど頼むものが無ければ、交代のあとの最初の依頼で仕上がりを見れば足ります。公開された画面が依頼どおりで、ほかのページと見た目がそろっていれば問題ありません。

仕上がりが依頼と違う場合や、更新の手順を後任者から何度も聞かれる場合は、情報が制作会社に残っていないおそれがあります。前任者が在籍しているうちに、制作会社の責任者へ伝えてください。

【引き継ぎ中】経緯と約束

後任者への引き継ぎでは、打ち合わせで決めた方針や未定のことが、後任者に伝わっているかを確認します。これらの多くは、前任者だけでなく発注側も知っています。前もって書き出して制作会社の責任者へ送っておくと、引き継ぎの打ち合わせで抜け漏れにすぐ気づけます。

いつ発注側がすること
引き継ぎの打ち合わせ前経緯と約束を書き出し、制作会社の責任者へ送る
引き継ぎの打ち合わせ前打ち合わせに出て、抜け漏れがあれば伝える

書き出しておくのは、いまも効いている次の決めごとです。

  • 打ち合わせで口頭で決めた方針(例:ボタンの色は次のキャンペーンまで変えない)
  • 「次の改修で直す」と前任者に頼んでおいた要望
  • 進行中の案件の納期と、まだ決まっていないこと
  • 前任者から聞いていた注意点(例:特定のページだけ手作業で更新していて、知らないと更新が漏れる)

引き継ぎの打ち合わせ(後任者との顔合わせ)

引き継ぎの打ち合わせは制作会社が設け、前任者が後任者に経緯を説明します。発注側も出席して説明を聞き、書き出した決めごとに抜け漏れがあれば、その場で伝えてください。予定が知らされない場合は、制作会社に確認しましょう。

【引き継ぎ中】契約外で頼んでいた作業

後任者への引き継ぎでは、前任者が「ついでに」引き受けていた作業が契約に含まれるかを確認します。決めてある範囲と費用はそのままですが、それ以外は別の見積もりになることもあるからです。どこまでが範囲内かを制作会社と確認しておけば、交代のあとも迷わずに頼めます。

いつ発注側がすること
引き継ぎの打ち合わせ後「ついでに」頼んでいた作業が契約に含まれるかを、制作会社に確認する

契約にない画像の加工や、急ぎの小さな修正を追加の費用なしで受けてもらっていた場合が、これにあたります。範囲をはっきりさせておけば、あとで請求の行き違いが起きません。有料になる作業も、頼むかどうかは発注側で決められます。

【引き継ぎ中】連絡先

後任者への引き継ぎでは、連絡先の切り替えも必要です。ふだんのやり取りの相手と、サイトが表示されないなど急ぎのときの連絡先を、前任者から後任者に切り替えてください。前任者個人のメールや携帯電話は、退職後はつながらなくなります。

いつ発注側がすること
担当変更前日チャットやメールの宛先が後任者に切り替わったことを確認する

後任者の連絡先と、後任者が不在のときの連絡先は、制作会社から知らされます。知らされない場合は、こちらから聞いてください。自社のチャットに前任者を招いている場合は、外すのは自社の作業です。

【急な交代】知らせと同時に担当者が代わったとき

知らせと同時に担当者が代わった場合は、前任者に確認する時間がほとんどありません。その日のうちに、前任者のアカウントの削除と共有のパスワードの変更を制作会社に頼んでください。引き継ぎが済んだかは、後任者への最初の依頼を小さなものにして、仕上がりで判断します。

いつ発注側がすること
その日前任者のアカウントの削除と、共有のパスワードの変更を制作会社に頼み、済んだことを確認する
その日ドメインとSSL証明書の更新日、有料サービスの支払日の一覧を出してもらう
数日以内後任者に何を渡したかを、制作会社の責任者から説明してもらう
数日以内経緯と約束を書き出して制作会社の責任者へ送り、後任者に小さな更新を1件頼む

確認コードが前任者の携帯に届くアカウントは、そのままではログインできません。契約者がサーバー会社などで本人確認の手続きをして、ログインできる状態に戻します。手続きには数日かかることがあるので、期限が近い更新や支払いは、先に制作会社から各社へ事情を伝えてもらいましょう。

前任者と連絡がつかない場合も、前任者個人を追わず、制作会社の責任者を通して進めてください。

【交代のあと】外注先を変えるかどうか

外注先を変えるかどうかは、担当者の退職そのものではなく、後任者の対応で判断してください。制作会社との契約は会社どうしのものなので、後任者が経緯を引き継げば、これまでと同じ契約で依頼を続けられます。判断するときに見るのは、次の4つです。

  • 後任者が、これまでの経緯を把握しているか
  • 更新の仕上がりが、前と同じ水準か
  • 問い合わせへの回答の速さが、前と同じくらいか
  • 費用が、作業の内容に見合っているか

気になる点が続くときは、まず制作会社の責任者に伝えてください。それでも改まらない場合に、ほかの制作会社を探すことを考えましょう。

【交代のあと】次の交代に備える

次の交代に備えて発注側ができるのは、アカウント・名義を自社で管理し、決めたことをそのつど記録に残すことです。打ち合わせで決まったことを、その日のうちにメールで制作会社へ送っておくだけでも、両社の手元に残ります。記録があれば、次の担当者にもそのまま渡せます。

まとめ

外注先の担当者が退職するときは、アカウント・名義の管理と、後任者への引き継ぎを確認してください。操作は制作会社に頼み、発注側は済んだかどうかを確認して判断します。いつ、何をするかは、「はじめに」の表をご覧ください。

確認の表で「いいえ」があり、どう整えればよいか迷う場合は、株式会社ライスボールがお手伝いします。いまの制作会社との取引はそのままで、アカウントと名義を自社で管理できる形に整えるところから進められます。お問い合わせのページからご相談ください。

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